よりみち日誌

記録しなければ忘れてしまう寄り道にこそ、感動の物語があるのではないでしょうか。

【番外】花火を一緒に見たい人

この人は今、こんな事を考えているんだろうなぁ〜、と想像する時がある。


本当にその人が、そんな事を考えているかどうかなんて、分からない。


しかし…。


先日、花火大会が開かれた日。

私は、ある人が、確実に…、間違いなく…、こんな事を考えているんだなぁ…、と分かってしまったのである。


花火に気遣うおぼろ月が照らす、我が家のベランダで。



子供の時から、私の理想の夫婦は祖父母夫婦だった。


祖父は、毎晩寝入る間際に、

「今日も1日ありがとう。ご苦労様。」

と祖母に言って眠りについていた。

これは、1日たりとも欠かす事は無かったそうだ。


おっちょこちょいな祖母を、目を細めて見ながら、祖父は楽しそうに茶化し、笑い合っていた。


こんな夫婦になりたい、と、幼心にも思っていた。


祖父は自衛隊員。真面目な性格で、日本酒と演歌が大好きだった。

祖母は、明るい性格で、二人の娘、つまり、私の母と叔母を育て上げた。



7年前。

そんな祖父は、私の母親に、

「お母さんを頼む」

と最期に言い遺して旅立った。


祖父の亡骸に頬を寄せ、涙をポロポロこぼしながら、

「お父さんと一緒にいて、辛い思いをした事なんて1日もなかったよ。毎日、毎日、幸せだったよ。」

と、何度も、何度も、人目も憚らずに祖父に語りかける祖母の姿。


静かに眠る祖父。


日々の感謝と労いを、毎夜伝え続けた祖父が、今までありがとう、と言っているように見えた。



近所の花火大会を我が家のベランダで見るのは、ここ最近の恒例行事。

今年は、両親が祖母を連れてやってきた。


ベランダに椅子を出し、茄子の漬け物を食べながら花火を見る。

小さい声で「綺麗だねぇ…」と呟く姿は、少し寂しそうだった。

遠くに上がる花火を、じいっと見つめている。


あの時…、


(おじいちゃんにも見せたかったなぁ)


…って考えてたんでしょ?


おばあちゃん。



Hanabi with grandfather

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