Yorimichi #8:神楽坂の蕎麦しみる昼下がり
ここ最近、鞄に忍ばせていた1冊の本。
読了したことから、彼とは今日でお別れだ。
私は明日から、別の本を鞄に忍ばせる事になり、彼は明日から、沢山の仲間達が住んでいる本棚で過ごす事になる。
そんな彼の名は、『ふるさとをつくる』(小島多恵子さん)。
情熱とバイタリティーで、ふるさとを元気にしていった方々のドキュメント。
親の仕事柄いわゆる転勤族で、幼稚園・小学校・中学校全てが二箇所ずつに分断されてしまった私からすると、ふるさとがあるという事はとっても羨ましい。
この本で取り上げられた皆様方は、きっと今もなお、ふるさとの為に魂を捧げているのだろう。
ふるさとに注ぐ情熱の質量に感服してしまう。
そんな中、今日の私ときたらこうだ。
お猪口に注ぐお酒の質量に完敗してしまい、二日酔いでフラフラ歩く神楽坂。
朝から何も喉を通らず、しかしいい加減、何か胃に入れなきゃまずかろうと腹空かしのウォーキングを試みていた。
時刻は14時45分。大抵のお店がランチタイムを終え、ディナーの仕込みに入っている。
ああ、これはまだ食べちゃダメよという、神様の思し召しなのかしら。
そんな思いがよぎった時、雰囲気のある蕎麦屋「たかさご」を発見した。
蕎麦なら食べられそうだ。
ランチは15時までと書かれている。
暖簾をくぐると、上品でこじんまりとした店内にクラシックの調べが心地よく流れる、素敵な空間がそこにはあった。
客はいない。
頼んだ「せいろ」を濃いめのつゆに少々くぐらせ、おろしたてのワサビと共に口に含むと、芳醇な蕎麦の香りが鼻に抜ける。
しみるなぁ。。。
酒に漬かって昏睡していた胃袋が、息を吹き返していくのがわかる。
次飲む時は、二日酔いにならない程度に抑えていこう。
そう思ったのが、もうかれこれ1,000回目くらいになるかなぁ。
なんて思いながら、蕎麦湯をすすった昼下がり。
Drink
南部美人《純米》(岩手)
銀盤播州《純米大吟醸》(富山)
石鎚《純米無濾過》(愛媛)
北雪《純米吟醸》(新潟)
鶴齢《純米吟醸》(新潟)
大坂屋長兵衛《大吟醸》(兵庫)
Yorimichi with「舟歌」チャイコフスキー