Yorimichi #20:六本木山椒大夫高瀬舟
どこかから、チャリーン、と、小銭が落ちる音が聞こえてきた。
あの音は、十円だろうか、百円だろうか。
1円や5円ではなさそうだ。だが、500円ほど重厚な音色でもない。
長袖の人が増えてきた東京の昼下がり。
夏が終わろうとしている。
今年の暑さに、頭の天辺から五臓六腑、血肉心神に至る全てをやられてしまった私は、自己回復のために小説を読み漁る事にした。
まずは森鷗外【山椒大夫 高瀬舟】。
昔読んだはずだが、すっかり内容を忘れている。
六本木のカフェで全てを読み終えた。
本を閉じた瞬間、六本木の雑踏が私を取り囲む。
それまでは無機質に見えていた周囲の人々が、思慮深く、奥ゆかしい人間に見えてくるのは何故だろう。
日常の合間、寄り道感覚で短編小説を捲るのもいいかもしれない。
これで少しずつ、猛暑の中で蓄積した疲労を溶かしていこう…。
早速古本屋で、森鷗外【阿部一族 舞姫 】を購入した。
一冊100円(税別)。
100円(税別)でできるリフレッシュ。
100円(税別)も、大切にしなきゃいけませんね^ ^
Yorimichi with「山椒大夫 高瀬舟」森鷗外